ニラ、ナス、生姜、ししとう、みょうが、これらは全て高知県が生産量日本一を誇る野菜です。

高知野菜

日本一になったのは偶然でしょうか?83.4%と日本一の森林面積を誇る高知県。その森林の殆どは田や畑には不向きな急傾斜の山林であり、平地が少なく農家泣かせの地域でもあるこの県。

人口も70万人あまりと野菜を大量消費する地域で無いにも関わらず、なぜこれほど農業が盛んなのでしょうか?

 

その答えは至ってシンプル、“高知野菜を楽しみにしているお客様が全国に沢山いるから”です。

モノが沢山ありふれている現代、大量に生産しようすると大量に売れる先、つまり支持され消費される先が無いと作れません。学生の時に習った”需要”と”供給”のバランスというヤツです。

では海外産の価格の安い野菜と比べても、なぜ高知県の野菜は需要(ニーズ)が高く支持されているのでしょうか?その答えも至ってシンプル、栄養がギッシリ詰まっていて ”味が良い” からです。

それでは高知の野菜はなぜ、栄養豊富でおいしいのでしょうか?今回はその謎について、紐解いていきたいと思います。

絶妙の地形が生み出す「天然の2段式空気清浄フィルター」

高知県は図のように北側の県境を扇状に広がる山地で囲まれています。

南は太平洋であり、陸続きの愛媛県や徳島県への往来は必ず険しい山を乗り越えないといけなかったため、その昔は”陸の孤島”と呼ばれたり、”流刑(島流し)”の地として有名なほどの地域でした。

その四国山地の北側には瀬戸内地域があり、本州に渡りさらに北へ行くと中国山地があります。

さて、ごく当たり前の話しですが、植物は「光合成」によって成長します。その名の通り”光”が必須で、さらに我々のような恒温動物ではないので気温もある程度高くないといけません。

つまり日射時間が短くて、気温の上がりにくい冬は植物にとって一番過酷な状況なんです。

ですから冬の北海道のような環境では積雪もあり露地では一切農業生産をしません(できません)。そんな野菜栽培には厳しい冬にこそ、この2つの山地が絶大な効果を発揮するのです。

西高東低の典型的な冬型の気圧配置になると、ロシア・中国大陸の方から北風がやってきます。

大陸で黄砂やPM2.5等の粒子を含んだ北風は日本海で水分を含み、その後中国山地に当たると雪や雨となりその場で一緒に落ち、浄化されます。(1段目の浄化)

中国山地を乗り越えた風は、瀬戸内海で再度水分を含み、今度は四国山地を乗り越えようとします。

この時にもそれまでに含んだ水分と細かいチリが一緒に雪や雨として山に落ち浄化されていきます。(2段目の浄化)

実はあまり知られていませんが、南国高知にも天狗高原スキー場というスキー場があり、冬は雪が積もるんです。

こうして2回も浄化され高知の平野部に流れ込んだ北風はカラッカラで湿度は時には20%代と何と砂漠に匹敵するほど。

その証拠にウェザーニューズの全国静電気調査では「日本で最も静電気を多く感じる県民は高知県」とあり、いかに高知の冬の北風が乾燥しているかが分かります。

参考:“バチッ”と痛い冬の静電気、最も多く感じるのは高知県

 

また高知の天狗高原は星空の綺麗さで日本屈指の場所であり、これもまさに空気が澄んでいる裏返しと言えます。

つまり星がキレイに見えるということは、昼間の太陽光に関しても同じくチリや水分等で曇らずクリアであるということです。

このような理由で強い日射が冬でも手に入るため光合成が活発となりスクスクと成長し、同時に多量の紫外線も浴びてしまうため、野菜自身もそれから身を守るためにポリフェノールやビタミンを沢山生成するので、栄養豊富なおいしい野菜が自然と出来てしまうのです。

険しい山ばかりで使い物にならない高知県だからこそ良かった!?

冒頭で紹介した83.4%という日本一の森林面積。高知県が農業推進県であれば、アマゾンの森林のように森林を開拓して田畑にすれば?と思う人も多いはず。

しかし下の画像のように高知県は”土地は沢山あれど田畑に向く平地はごく僅か”で、古くからその山間部の活用に苦慮し、林業や日当たりや水はけの良い場所を好む果樹栽培をすることで生活してきました。

ビルや工場などの人工物を建てるのも不向きで、農薬を効率的に散布する田畑さえも造成しにくい。そのため高度経済成長期やバブル期でもずーーっと手付かずのまま、緑生い茂る山のままできてしまった。

ナチュラルな農業には、その”手付かずのまま”が逆に良かった!!

有機栽培では、土作りに家畜のふんや落ち葉、木の皮などの有機物を微生物の力で分解・発酵させたものを使用します。これは堆肥と言われるものでこの出来が野菜の生育・味に大きく影響します。

有機栽培には不可欠なこの堆肥。必ずしも人工的に作らないと手に入らないものなのでしょうか?

森を見ればその答えはあります。

上を見上げれば生い茂った木々には鳥や蜂、地面には大量の落ち葉や枯草があり、その下にはミミズ、アリなどの虫。

そしてリスやモグラなどの小動物に加え、イノシシや鹿、それらが排泄したフンや尿を分解する無数の細菌類。

これらが腐った”腐葉土”は有機栽培には最も理想的な堆肥と言われ、本来は自然の中で勝手に出来てるものなんです。そもそも人間はそれを工業的に模倣しているだけなのです。

すなわち森だらけの高知県は “全土が天然の高品質堆肥の生産工場” といっても過言ではないということです。

雨が多いことでも有名な高知県。その森林で出来た腐葉土に加え、その栄養分をふんだんに含んだ川の水を農業用水として田畑で多量に使うわけですから、高品質な野菜が出来ないわけがありません。

以上、今回は固有の地形による日照条件の良さと、森林の多さによる栄養豊富な土や水環境により、高知県では質の高い野菜が出来やすいということを紹介しました。

次回後編では中華の鉄人 陳建一シェフが絶賛した高知県産の有機 葉にんにくと、それを使った葉にんにく餃子のおいしさについても語ります。

アースエイド 嶋崎裕也

葉にんにく餃子

投稿者プロフィール

嶋崎 裕也
嶋崎 裕也代表取締役
株式会社アースエイド  代表取締役
特定非営利活動法人   日本綜合医学会  理事

2004年に自動車メーカーのマツダ入社。R&D部門にて開発統括業務、シャシー開発、次世代低燃費エンジン開発などに携わった後、2009年退社。

6次産業立ち上げに必要な農業技術や食品加工技術の開発、加工場建設や経営知識の習得に加えて現居住地の限界集落のブロードバンド化活動などを3年半掛けて行い、2012年に1人にて農業生産から食品加工、販売までを手掛ける「農産加工所アースエイド」を創業。

「健康的な食と文化の提供を通じて お客様に幸せを提供する」を基本理念とし、高知の伝統調味料「葉ニンニクぬた」の通年量産化に日本初で成功した事をきっかけに国内だけではなく、海外へも広めようと販促活動を行う。

現在はNPO法人日本綜合医学会の理事も務め、健康相談や食育講演活動を通じて「食の本質」を伝えることにも尽力し、ガン・糖尿病等の生活習慣病や精神疾患の患者を削減させ、医療費問題に貢献することを人生の目標としている。

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